大学を卒業して数年。
一足先に病院やクリニックに就職して「臨床検査技師」として働き始めた同期と、ストレートで大学院に進学し、毎日顕微鏡と向き合っている私。
先日、久しぶりに大学時代の同期と居酒屋で集まり、お互いの近況を報告し合う機会がありました。
グラスを交わしながら聞こえてくるのは、「現場の生々しいリアル」と「社会人と学生という圧倒的な立場の違い」です。今回は、現役技師の同期と飲んで感じた、リアルな格差と本音について語ります。
1. 「毎月給料が入る」という当たり前で絶大な安心感
真っ先に突きつけられたのは、当然ながら「経済的な自立の格差」でした。
- 同期のリアル:基本給に加え、当直手当や残業手当がつき、ボーナス(賞与)が満額支給される。「今月は趣味にこれくらい使った」「そろそろ車を買おうか迷っている」という会話がごく普通に飛び交います。
- 自分のリアル:無給で夜遅くまで実験を回し、白衣のポケットの中で財布の残高を気にする日々。
社会人として自分で稼いだお金で生活を営み、自分の選択で自由にお金を使える同期の姿は、喉から手が出るほど羨ましく、強烈な焦燥感を覚えたのが本音です。
2. 臨床現場の人間関係と「ルーティンワーク」の葛藤
一方で、彼らも手放しで幸せなわけではありませんでした。現場ならではの泥臭い悩みを抱えています。
① 病院特有の「閉鎖的な人間関係」
技師室という狭い部屋で、毎日決まったメンバー、技師長や先輩たちと顔を合わせ続ける人間関係のストレス。「〇〇技師長とのやり取りがキツい」「当直のペアによってテンションが変わる」といった、組織で働く社会人特有の悩みがリアルでした。
② 「ルーティンワーク」に対する漠然とした不安
毎日何十人、何百人の検体をさばき、正確に数値を出す作業は、医療を支える重要かつ立派な仕事です。しかし同期の一人は、「毎日同じ作業の繰り返しで、自分の知識や技術がアップデートされている実感が薄い」という焦りを吐露していました。
3. 「隣の芝生」はお互いに青く見える
居酒屋での会話を通じて気づいたのは、「どちらの選択も、それぞれ違う痛みを抱えている」ということでした。
| 比較項目 | 現役臨床検査技師(同期) | 限界大学院生(自分) |
| 経済力 | 安定(給与・ボーナスあり) | 極貧(無収入・奨学金生活) |
| 時間 | 終業後は自由(当直除く) | 拘束時間長(夜間実験・MTG) |
| 業務・研究 | ルーティン多め・誤解許されず | 誰も知らない未知のデータ・自由度高 |
| 悩み | 職場人間関係・キャリアのマンネリ | 資金繰り・データが出ない焦り |
彼らは私の「癌のメカニズムを解明するために、誰も見たことがないデータを解析している」という話を聞いて、「自分でテーマを持って研究しているのは普通に凄いわ」と言ってくれました。
自分にとっては「お金も時間もなくて苦しい日常」でも、現場でルーティンに追われる彼らにとっては「知的な挑戦」に見えていたのです。
結論:選んだ道で「何を持ち帰るか」
同期と飲んだ夜、帰り道の夜風に当たりながら考えました。
確かに、ストレート進学はストレートな社会人生活に比べて「お金」と「時間」の面で大きな遅れ(遠回り)をとります。同期たちがキャリアを積み、経済的に豊かになっていく姿を見て焦らないと言えば嘘になります。
しかし、私がこの2〜3年の「限界生活」と引き換えに手に入れようとしているのは、将来のキャリアの幅を劇的に広げる「論理的思考力」と「研究能力(修士号)」です。
隣の芝生を羨むのではなく、この過酷な時間を使い倒して、数年後に「この選択で正解だった」と胸を張れる実績を作ろう。良い論文書いて、有名ジャーナルに投稿するわ!と僕は意気込んで、その夜はお開きになりました。
次回は、【同期インタビュー企画】として、「【現役技師の本音】大学病院勤務3年目の同期に、夜勤・残業・給料のリアルを突撃取材してみた」をお届けします!
現場の生々しい数値をさらに深掘りしていきます。
白衣のポケットに手を突っ込みながら、今日も実験室で耐え忍ぶ、限界大学院生あめでした。
